夏の食中毒について

こんにちは。

院長の木村研吾です。

梅雨が明け、とても暑い日が続いています。

セミの鳴き声を聞くと、本格的な夏の到来を感じますね。

そういうことで、今月のテーマは食中毒です。

夏場に原因菌・ウイルスについて頻度の高いものを紹介します。

  • カンピロバクター

みなさん、カンピロバクターって知っていますか?

この細菌は夏場の食中毒として最も有名なものの一つです。

カンピロバクター食中毒における患者の疫学調査結果からは、その原因食品として、生の状態や加熱不足の鶏肉が強く示唆されています。

日本における発生頻度としては、ここ10年程をみると、200-500件/年の発生で1000-3000人/年の患者の報告があります。平均すると1件で5人程でしょうか。集団食中毒の原因としても有名です。

症状については、発熱、腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒とよく似ています。多くの患者は数日から1週間程で治癒します。死亡例や重篤例はまれですが、乳幼児・高齢者、その他抵抗力の弱い方では重症化する危険性もあり、注意が必要です。また、潜伏時間が一般に1~7日間とやや長いことが特徴です。ここが他の食中毒原因菌・ウイルスと異なるところで鑑別となりえます。さかのぼっての問診がとても重要です。過去に食べたものなんて大体の方はほとんど覚えていないと思います。過熱していない鶏肉の摂取歴はピンポイントで聞くことが大事です。

また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。

治療には抗菌薬を使用します。他、症状に合わせて、整腸剤や制吐剤・解熱鎮痛剤などを用います。

予防はとにかく加熱です。

  • サルモネラ

サルモネラは夏場に集中して発生する食中毒です。

サルモネラの原因は食品(加熱していない卵や肉)やペット(犬・猫・カメ)などとても広いことが知られています。

症状は頻回な嘔吐・下痢・腹痛に始まり、発熱することもあります。

ほとんどは数日で軽快しますが、小児や高齢者では時に重症化することもあり、注意が必要です。

潜伏期間は6時間から72時間程で、カンピロバクターとの相違点となります。

治療は対症療法となりますが、重症化する恐れがある場合には抗菌薬の投与を行います。

  • ノロウイルス

ほとんどの方がご存じかと思います。冬場に大暴れするウイルスです。牡蠣の生食で感染することで有名です。美味しくて生で食べたいけれど、このせいで食べない方結構いますよね・・・。

実は夏にも発症することが知られています。感染性胃腸炎として夏場の報告数だけでも上位なので、インフルエンザウイルスみたいに夏は検査数がぐっと減っている状態を踏まえますと、実際はもっと多いのかもしれません。

特効薬は存在せず、対症療法で乗り切るのみです。非常につらい嘔吐が頻回に続き、高齢者では2次的な誤嚥性肺炎にとても注意が必要です。

予防は悔しいけど加熱です。

アルコールに耐性があるので、コロナ対応していれば、接触感染は大丈夫というわけではありません。

  • 黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌自体による食中毒ではありません。この細菌はエンテロトキシンという外毒素を産生することで知られています。

原因食材として、素手で握ったおにぎりやお寿司等、直接手でふれて調理を行うものが原因となりやすいです。

厚生労働省による、ぶどう球菌(黄色ブドウ球菌を主に含む)の過去5年間の統計データをみると7月に最も多く発生しています。細菌が増殖する高湿度・高温の条件がそろう、6月から10月にかけては、特に注意が必要です。

潜伏期間が非常に短く、食後30分~6 時間程度で、悪心、嘔吐、下痢などの症状がみられます。黄色ブドウ球菌による食中毒では悪心・嘔吐は必発症状で、嘔吐回数は摂食した毒素量により異なります。

通常、24時間以内に改善し、特別な治療は不要とされていますが、脱水症状や血圧の低下、脈拍微弱などを伴った症状により重症化する場合もあります。

予防策として、以下が重要です

・調理時の手洗い、消毒、手袋の着用を実施すること

・食材を適切な温度で管理すること(10℃以下では増殖できない細菌です)

・調理時に十分な加熱をすること

  • 腸管出血性大腸菌

O-157で有名となった細菌です。

腸管内でベロ毒素を産生し、その毒素が様々な症状を引き起こします。

原因食品としては、牛肉や馬肉など加熱が不十分または未加熱の食材を喫食したことが原因で腸管出血性大腸菌食中毒を発症する事例が多いと言われています。

腸管出血性大腸菌は、牛や馬などの家畜の腸管内に生息しており、食肉はその製造過程で腸管内の腸管出血性大腸菌に汚染されている場合があります。これらの食材を食べる際は加熱状態をしっかり確認しましょう。

症状は無症状や軽い下痢の症状のみで収まる場合もありますが、多くの場合は3〜5 日の潜伏期間の後、下痢、腹痛、発熱などの症状がでます。時には血便を伴う場合もあります。子供や高齢者の場合症状が重症化しやすく、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)や脳症などの合併症を発症することもあり、重症の場合は死亡することもあります。非常に恐ろしい細菌の一つです。

【まとめ】

予防は加熱に限ります。

結局、加熱が一番です。

生食はできるだけ避けましょう。(重症化しやすい小児・高齢者の方は特にです)

まだまだ暑い日が続きます。

熱中症対策にも十分気を付けてください!

きむら内科クリニック
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